【漫画感想】「ニッターズハイ!」を読んだので感想を書いてみる。【「呪い」を解いていく物語。】

2023年11月1日オタ活漫画,編み物

※本記事の最後にアフィリエイトが存在します

2021年10月8日、「ニッターズハイ!」という漫画の単行本が発売されました。

私は先日電子書籍で購入して読みました。
とっても素敵だったので、感想を書いてみようと思います。

あらすじ

ざっくりひとことでなろう小説のように題名をつけるなら、
「元陸上部の男子高校生が怪我で走れなくなったけど次は編み物に熱中する話」です。

「ニッター」とは「編み物(=knitting)をする人」のこと。
ニッターとランナーズハイを掛けているんですね。

原作者:猫田ゆかりさんが、Twitterで第一話を上げてくださっています。
是非読んでみてください。

この作品の魅力①:物語のテーマ

この作品の魅力は、物語のテーマである「固定概念からの解放」です。

前述したとおり、この物語は男子高校生が編み物をします。

海外では男性ニッターは多いものの、
日本では男性ニッターは珍しく見られる、という事実が確かにあります。

しかし男性がニットをするのは変、という価値観は「ジェンダーバイアス」なのです

さらにこの漫画では、
他人が自分に、自分が他人に、自分が自分に対して「こうでなければならない」と縛りつける価値観に気づかせ、解き放つ視点を与えてくれます。
主に自分が自分対して縛る固定概念からの解放を描いているように感じます。

インタビューでは、この価値観のことは「呪い」と表現されています。上手いなぁ。

https://www.huffingtonpost.jp/entry/story_jp_60dc293fe4b0b84c3be32135

個人的名言集

固定の価値観から解放するような、ハッとさせられる名言がいくつか書かれています。いくつか紹介させてください。

「そうやって人を笑う奴はな! 自分も笑われるのが怖くなって何にも挑戦できなくなるんだからな!」

主人公の浜仲健斗くんが、「男が手芸なんて変だし」と発してしまったことに対し、
編み物大好きな黒葉類くんが怒りながら返した言葉です。

この後、浜仲くんは編み物をやることになるのですが、それがクラスの噂になっていると耳にします。
そのときに一瞬「恥ずかしい」という感情を持ってしまったことに気づきます。

周りは特にそれが変だとか言っているわけでも、態度に出してしているわけではないのですが、浜仲くんが自分で自分に「恥ずかしさ」を感じてしまっているのです。
相手に向けた偏見の目が、自分に返ってくる。
誰かに向けた偏見の矢は、その立場に立ったときに必ず自分に刺さります。
あいつの言った通りだ、と浜仲くんは反省するのでした。

実はこの言葉は、黒葉くんが恩師から受け継いだ言葉だったのです。
こちらの言葉も素敵です。

「みんな」か・・この狭い教室で彼だけがみんなと違う発音をした だから笑ったんだね

そうやって周りと違う人を笑っていると だんだん自分も周りと違うことをするのが怖くなる

何か挑戦したいことができても 笑われるんじゃないかって何もできなくなる

先生は君たちにそうい大人になって欲しくないよ

狭い世界の価値観で 自分の可能性を潰さないで欲しい

世界は思うよりずーっと広いよ!

ニッターズハイ! Cast on 3sts.

努力せずに楽しむことかな

黒葉くんが恩師に、編み物上達のコツを聞いたときの、答えです。

「努力してるて感じるときは 無理してるときでしょ?
そういうときは休んで楽しめるときに楽しんだほうが
効率よく上達できるよ」

上達とか、修行とか、やっぱり我慢や努力をしないといけないような気がしてしまいます。
この回答は、そんな考えを壊してくれる言葉です。

更に、下記言葉が続きます。

編み物は自由だから こうしなきゃだめなんてことはないんだよ

私は、かぎ針の持ち方や棒針の持ち方を、正式なものから少し変えています。
そちらの方が自分の癖・力の入れ具合に合っていて、編みやすいし早い、楽で楽しいからです。
他の人にも見てもらって、編み目の綺麗さに影響が出ていないことは確認できています。
編み物は、結局は完成品が評価される場合が多いので、知識として正式版を頭に入れつつも、あえて理論から外すのは全然ありだと思っています。

編み物は、と言われていますが、編み物だけには止まらないと思います。
他の手芸も、絵画も、音楽も、ファッションも、同じ。過程も、完成品も、自分に合った自由で良いのです。

この作品の魅力②:編み物に対するリアリティがすごい

漫画には、編み物の基礎知識、初心者の苦しみやつまづきポイント、ニッターあるあるなどが盛り込まれているのですが、本当に共感できる内容ばかりでした。

原作者:猫田ゆかりさんがよく編み物をされるそうで、
知識面は実際の経験を元に描かれているんじゃないかなと思います。

個人的に私が好きな小ネタは、登場人物の名字が、手芸関連の名前となっているところです。

・浜仲 健斗 →ハマナカ(有名毛糸メーカーさん)
・黒葉 類 →Clover(有名手芸道具メーカーさん)
・金子 天馬 →カネコヤ(手芸用品店さん)
・織武 蓮 →オリムパス(手芸材料メーカーさん。レース糸や刺繍糸、キットをよく見るイメージ)
・ダルマ(猫) →ダルマ(有名な毛糸、レース糸メーカーさん)
・岡田 順夜 →オカダヤ(手芸用品店さん)
・湯沢 篤 →ユザワヤ(手芸用品店さん)
・内藤先生 →内藤商事(手芸用品の卸の会社さん)
・大塚 沙也香 →大塚屋手芸用品店さん)
・東海くん →クラフトハートトーカイ手芸用品店さん)

いろいろ調べてまとめたのですが、もし違ったらごめんなさい・・。
こう並べてみると、”○○ヤ”の名前が多いですね。何かあるのかな。

ニッターズハイ!オススメです!

最後まで読んでいただき、ありがとうございます!

ニッターも、そうでない人も、楽しめる漫画だと思います!
電子書籍版を買ったものの、手芸好きな母にも布教したいので、単行本買おうかな。

気になる方は、是非読んでみてくださいね!

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Posted by めあり